農林水産省「若手農業者向けアンケート」の結果を読み解いてみた

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農林水産省では、49歳以下の若手農業者における現状や将来に向けた考えを把握するため、平成29(2017)年10月から11月にかけてwebアンケートを実施しました。

その結果は、「若手農業者向けアンケート結果の分析」にて報告されていますが、結果報告資料だけを見ていても「それがどういうことなのかわからない…」と思う方が大半。

それならば!ということで、集計結果資料を読み解き、リサーチャー歴13年の筆者が思うところをコメントしてやろうじゃないか!というのが今回の企画です。

グラフやデータが多数出てきますが、できるだけ簡単に解説できるようがんばります…!

日本の農業の未来は?

最初に、日本の農業の未来に対する若手農業者の意識を聞いています。

「明るい」25%に対し、「暗い」30%…。悲観的な意見の方が優勢のようです。
きっとそこには農業環境を取り巻く様々な課題が隠されているのでしょうね。それを踏まえながら、以下の結果を見ていきましょう。

JAの取り組みは評価される?

農家のよろず屋とも言えるJA(農協)。その評価はというと、「評価できる」27%に対し、「不満」49%。なんと半数近くが「不満」というネガティブ評価でした。

農家さんを取材している身からすると、確かにJAの存在は有難いけれど、単価が安いため儲けが少なくなってしまうことを課題に感じている方が多かったです。JAの組織としてのあり方も課題でしょうが、農家さんにとっては、そんなJAをどういった形で活用するか、という点で、知恵を絞っているのかもしれません。

現在の課題は?将来の不安は?

農業経営における課題についても聞いています。

半数近く(47%)が「労働力の不足」、2位には「品質に見合わない売価」35%が挙げられています。人手不足に、儲けの少なさ。これでは農業の未来に対して「暗い」と答える人が多いのも頷けます。

個人的にはJAに不満を持っている人ほど「売価」を課題として挙げる人が多いのでは…などと邪推してしまいましたが…。

似た質問として、将来の不安についても聞いています。

やはり「労働力の確保」57%がトップ、「農産物販売価格の低下」52%が2位と、半数以上の人が「人手」「売価」に不安を抱えていることが如実に表れていますね。

「儲かる農業」を実現する業界構造を作り上げることが目下の課題と言えそうです。
農業は他の産業と同じように(あるいはそれ以上に)儲かる! のならば、必然的に就農者が増えたり、労働力の確保もできるようになるでしょうね。

今後、何をどうしたいか?

前向きな話として、農業生産や販売などに関して、伸ばしていきたい方向は?という質問も調査項目に入っていました。

「単収の向上」については実に7割以上の人が挙げていました。
よく「売上=単価×販売量」という公式を見ることがあります。収入(売上)を上げるには、たくさん売るか、一つ当たりの価格を上げるか、どちらか、または両方が必要である、というロジックです。

農業を生業にしている人にとって、単収の向上は切実な問題。そのためには販路を選択することも必要になるでしょうね。

そういう視点で「出荷・販売先について伸ばしていきたい方向」のデータを見ると興味深いですね。「消費者への直販」が57%と最も高く、あとは「外食中食業者」「直売所」が2割台で続いています。

直販が一番儲かる、という意識の表れだと私は理解しましたが、皆さんの見方はどうでしょうか?中間マージンを抜かれるとか、JAのように全量買い取りだけれども単価が低い、といったことに悩まされないのはD2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)すなわち消費者への直販・直送モデルの利点です。

関連事業として手掛けたいのは、「加工・販売」が半数近くとなりました。手元で生産物だけでなくその加工品も販売できれば、商品に付加価値を持たせることができるので、 別ラインの投入という形で売上を向上させることができる。当然の考え方だと思いますし、実際にそれを実践している方も回答者の中にはいるでしょう。

個人的に興味深かったのは、2位の「観光農園・体験農園」26%。コロナ禍でなかなか観光需要は厳しい世の中になってしまいましたが、こういったアグリツーリズムで農業に関心を持つ人を増やしていく試みは、消えてほしくないなと思います。

最後に…農業の魅力って?

若手農業者が考える「農業の魅力」についてもご紹介しましょう。

上位から、「裁量の自由度」「時間の自由度」「自然や動物相手の仕事」「食料供給の社会的責任」と続いています。

自由を希求して就農の道を選んだ方も少なくないのでしょう。そして自然と共に生きるというライフスタイルが実現でき、食料を提供するという社会の根幹にも触れる大切な仕事をしているという自己実現も果たせる。

一般生活者のイメージレベルではなく、実際の若手農業者の意見としてこれらの魅力点が挙げられているというのは、農業に関心の高い方にとっては一つの希望や将来を考える上での指針になるものではないかと思います。

私自身も身近に農業従事者を見てきて思うのは、自由や自然、開放的な環境が好きな人が多いということです。サラリーマンとしての人生をいったん終える時が来たら、必然的にスローライフを楽しむ生活様式にシフトしそうな気がしています。

日本の農業に明るい未来あれ…!
そう願わずにはいられない、若手農家の生の声を聴いた気がするアンケート結果でした。

s.yamamoto

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ツチカウ編集部の山本です。マーケティングを生業としながら、米とカボチャを生産する両親を支えつつ、日本の農の未来に想いを寄せています。

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