バーチャルウォーターって何!?目に見えない水の正体とは

社会×環境×農業

さっそくですが、あなたが野菜や果物などの食料品を見たとき、どれだけの水を使用しているか考えたことはあるでしょうか。
バーチャルウォーター」は日本語で「仮想水」と呼ばれている用語で、食料品の背景にある”目に見えない水”のことです。ここでは、”目に見えない水”バーチャルウォーターについて、様々な視点から迫っていきます。

バーチャルウォーター(仮想水)とは?

バーチャルウォーターとは、食料を輸入している国(消費国)において、もしその輸入食料を生産するとしたら、どの程度の水が必要かを推定したものであり、ロンドン大学東洋アフリカ学院名誉教授のアンソニー・アラン氏がはじめて紹介した概念です。
引用:「virtual water」環境省HP
https://www.env.go.jp/water/virtual_water/index.html

バーチャルウォーターは、わたしたちの生活に密接に関連しているものです。日本の食料自給率は約40%で、残りの約60%を輸入に頼っています。つまりこの約60%分は、日本で生産した場合に必要とする水を、使わずに済んでいるということです。言い換えると、食料を輸入することは、仮想的に海外から水を輸入している、と考えることができます。
たとえば、食パン1枚(60g)には約96リットル、オリーブオイル大さじ1杯には約274リットルのバーチャルウォーターが必要です。

参照:「virtual water」環境省HP
https://www.env.go.jp/water/virtual_water/index.html

 世界と比べた日本の現状

それでは、日本のバーチャルウォーターの輸入量はどのくらいなのか。他国と比較すると以下のようになっています。


国名輸入量(単位:兆リットル)
1アメリカ223
2日本128
3ドイツ123
4中国118
5イタリア101
6メキシコ80
7フランス76
8イギリス74

表1 年間バーチャルウォーター輸入量ランキング

表1のように、日本は世界で2番目に多く海外からバーチャルウォーターを輸入している国であることがわかります。この128兆リットルは一体どれだけの量なのでしょうか。東京ドーム(124万㎥)を基準に計算してみると…

128兆リットル = 1280億㎥
1280億㎥ ÷ 124万㎥ = 約10万3000

となります。つまり、日本における1年間のバーチャルウォーター輸入量は、東京ドーム10万3000個分にもなっているということです。バーチャルウォーター輸入量は、2000年では約64兆リットル、2005年では約80リットルだったことから、年々右肩上がりで増え続けています。
また、日本が輸入しているバーチャルウォーターを年間1人あたりで見ると、約100万リットルとなっています。これを1日あたりにすると、約2740リットルとなり、国民1人で1日に500ミリリットル入りペットボトル約5480本分のバーチャルウォーターを輸入しているということになります。少し気が遠くなってしまうような量ですね。

参照:「世界の統計2020 2-3主要国の人口の推移(2010~2019年)」総務省統計局
http://www.stat.go.jp/data/sekai/pdf/2020half1.pdf#page=1

参照:「隠れた水-Beneath the Surface 世界水の日報告書2019」WaterAid
https://www.wateraid.org/jp/sites/g/files/jkxoof266/files/2019beneath-the-surface.pdf

バーチャルウォーターはややこしい問題

これまで述べたように、日本は食料の約60%を海外に頼り、その背景には大量のバーチャルウォーターがあります。バーチャルウォーターの問題を捉えるときに考えたいことが2つあります。

水資源の枯渇の可能性

1つ目は、輸入相手国が必ずしも水資源が豊富であるとは限らない、ということです。
地球上にある水のうち約97%は海水で、淡水は約3%です。さらにその中で、わたしたちが容易に取水して使用できる水は約0.01%しかありません。そして、そのわずかな水も満遍なく存在しているわけではありません。日本のように水資源が豊かな国もあれば、砂漠が大部分を占め、水資源が乏しい国もあります。
もし、輸入相手国で水不足が起きた場合、どうなるでしょうか。生きるために、まず飲料用の水を確保するでしょう。必然的に食料生産に使用できる水の量は少なくなり、生産量も低下します。そして、わたしたちもその食料を食べることができなくなる、というシナリオが訪れてしまいます。これは、とても持続可能とは言えません。

参照:環境科学入門 地球と人類の未来のために 第2版

輸入をストップしたらどうなる?

2つ目は、水資源が乏しい国からの輸入をやめれば良い、というものでもないことです。
もし、輸入をやめてしまった場合、輸入相手国、そして生産者の収入がなくなってしまいます。水資源が乏しい国には発展途上国も多く、先進国に向けた食料の輸出が一大産業となっている側面があります。輸入をやめることは、生産者の収入がなくなることに直結するため、生活が益々苦しくなってしまいます。これも、持続可能とは言えません。

わたしたちにできることは何か

先ほど述べたように、バーチャルウォーターの問題は非常に複雑です。しかし、わたしたちの生活に密接に関わるこの問題に対して、手を拱いてみているわけにもいかないのも事実です。

たとえば、昨今社会問題になっているフードロス。今では年間1人あたり約48kg廃棄しているのが現状で、これは日本人1人が1年間に食べる米の量とほぼ同じです。その中には輸入している食料も含まれています。つまり、その食料を生産するのに使用された大量の水をそのまま捨ててしまっていることと同じです。大量消費・大量廃棄を見直し、適切な分だけ購入・消費することが大切です。
また、水資源に乏しい国には発展途上国も多く、輸出用の食料を生産することで生活を成り立たせている人たちがいます。そうした国では、根本的な水不足の解消が必要です。世界には、安心・安全な水を飲めない人が約6億6300万人もいます。日本の優れた浄化技術や井戸の掘削技術を輸出するなどの国際協力と併せて考えるべきところです。

さらに、食料の輸送で排出される二酸化炭素に着目したフードマイレージの問題もあります。二酸化炭素が排出されれば、異常気象はさらに増え、水不足の問題もさらに深刻化することが予想されます。日本は食料消費の約60%を海外に頼っています。フードマイレージの観点から考えると、地産地消をするということも、わたしたちができることの1つです。
こうして、バーチャルウォーターに着目すると、水不足、異常気象、食料自給率、地産地消、国際協力など、多様な要素が複雑に絡み合っているものであることがわかります。

いずれにしても、このバーチャルウォーターの問題は、わたしたちが持続可能な生活をしていく上で、避けては通れない重要な問題であることを意識しましょう。

参照:「日本の食品ロスの状況(平成29年度)」農林水産省 
https://www.maff.go.jp/j/press/shokusan/kankyoi/attach/pdf/200414-1.pdf
参照:公益財団法人日本ユニセフ協会HP
https://www.unicef.or.jp/special/17sum/

フードロスに関する詳しい記事はこちら
フードマイレージに関する詳しい記事はこちら

Shuhei Miyagawa

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本業は建設コンサルタント、副業でライター、ボランティアでキャリア教育と国際協力やってる信州人。農業に関わる人たちの”想い”を届けたい!

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