ブドウ好きが推す「ナガノパープル」 見かけたら絶対買うべき理由とは

地方×農業

秋の果物が美味しい季節がやってきました。林檎に梨にブドウ・・・魅力的なフルーツはたくさんありますが、そんな中でも今回注目したいのが、「ナガノパープル」というブドウの品種です。
長野県で生まれたこのブドウは、種が入っておらず、皮ごと食べられます。ぶどう好きをも唸らせると評判のナガノパープルの魅力をたっぷりご紹介します。

長野生まれの人気ブドウ

ナガノパープルは、巨峰とリザマートを交配してつくられた、皮ごと食べられる種なしの大粒ブドウです。2004年に品種登録されて以来、須坂市をはじめとした北信を中心に長野県内でのみ栽培されてきました。
2013年には、日本野菜ソムリエ協会が黒系ブドウをテーマに開いた第15回野菜ソムリエサミットで、JA須高のブドウ部会がナガノパープルを出品し、9組の生産者の中から食味評価部門の大賞に輝きました。当時の審査員からは「皮がサクサクで果粒との対象的な感じが良く、皮ごと食べて美味しい。」「強い甘みで旨味も十分、程よい酸味が甘さを一層引き立てて味わい深い。」との評価を得ています。
その後、皮ごと食べられるブドウの人気が高まってきた影響もあり、ファミレスや洋菓子店、コンビニでナガノパープルを使用したスイーツが相次いで販売され、全国で「ナガノパープル」の名が広く知れ渡るようになってきました。
2018年4月には生産地域が緩和されて、長野県外での栽培も可能になりました。実際に、今季は市場でも大分県産や山梨県産のナガノパープルが登場してきているのだとか。生産地が増えていくことで、ますます全国でのナガノパープル人気に拍車がかかりそうですね。

爽やかな甘さの上品な味わい

ナガノパープルの最大の魅力は、味わいにあります。平均糖度は18〜21%と非常に甘く、それでいて程よい酸味があるため、爽やかな甘さがあると評されています。その人気は、普段からブドウを食べ慣れているブドウの生産者の中でも「最も美味しい品種」と囁かれるほど!
さらに、毎年味わいが安定している点も魅力の一つです。日照時間や気温、降水量など、農業と天候は切っても切り離せない関係にありますが、そんな中でも市場に出回るのは一定して基準の高いブドウばかり。これもひとえに農家さんの日々の努力の賜物です。
ナガノパープルは収穫できる期間が短く、出荷がはじまったとほぼ同時にピークを迎えます。9月の間が最も購入しやすく、10月に入ると出荷量が減ってきてしまいますので、ご注意ください。特に、今年は気温の上昇と長雨により、出荷量が減っているとの見方もあります。購入のチャンスがあれば是非手にとってみてください。

どうして種がないの?

ところで皆さんは、種なしのブドウがどうして出来るのかご存知ですか?実は、ジベレリンという植物ホルモンが関係しています。

ジベレリンは植物がもともと備えている有機化合物で、植物の発生や成長、分化過程を調整する作用を持っています。このジベレリンをブドウの花に浸けると、種なしブドウが出来上がります。大切なのはタイミングで、ジベレリンをいつ浸すのかによって、種無しになったり、粒が大きくなったり…と、ジベレリンがどのように作用するかが変わってくるといいます。

面白いことに、種なしぶどうが完成したのは偶然の産物だという逸話もあります。1950年代初頭、種なしブドウは世界に先駆けて日本で開発されました。もともとは、種なしブドウを作る目的ではなく、房の軸が伸びる事を期待して、デラウェアにジベレリンを使用したそうです。すると、ジベレリン処理をしたデラウェアが種なしになるという事実が新発見。その後の研究によって、様々なブドウの品種に対してもジベレリンが種をなくす作用があると証明されました。予期せぬ発見のおかげで、ブドウ農家にとって新しい扉が開いたと言っても過言ではないのです。

育て方を知ればその価値がわかる!

ナガノパープルが収穫できるようになるまでには、当然ながら手間も時間もかかります。農家さん達が丹精込めて美味しいブドウを作り上げるまでの過程を少しご紹介しましょう。

①剪定

秋の収穫に向けて作業がはじまるのは、前の年の冬。剪定の作業では、畑全体で均一にブドウがなるように、枝を切って木の形を整えていきます。ナガノパープルの生産量が多い北信では、最高気温が0度を下回る真冬日も珍しくありませんが、そんな寒さの中でも剪定の作業は行われます。越冬後も、成長に合わせて栄養が適所に行きわたるよう、不要な枝や芽を取り除く作業はつづきます。

②房切り

6月上旬になるとブドウの花が咲きます。実は、私たちが普段食べているブドウの房の形を決めるのは、花が咲く前の「花穂」と呼ばれる状態の時。この花穂の先端部のみを残して他の花穂を切っていくのが、房切りです。房切りの作業は、花穂が伸びきり開花がはじまってから満開期になるまでの短期間で集中して行わなければなりません。長時間、上を見上げて作業しなくてはならず、農家さん達の苦労が窺い知れます。

③摘粒

房切りをして粒を整えたのちに、タイミングを見計らってジベレリン処理を行います。すると果粒はどんどん大きくなっていきますが、一粒一粒の色つきと味をよくするため、一房あたり30〜35粒ほどになるまで、要らない粒は摘み取ります。

④袋がけ

袋がけは、その名の通りブドウに袋を掛ける作業です。袋は、病気や害虫、鳥、雨風からブドウを保護します。さらに、直接果粒に農薬がかからないようにするためにも一役買っています。ちなみに、ブドウの粒に白い粉のようなものが付いていますが、これは農薬ではありません。ブドウの果粒の中にある糖分が表面に現れて白くなっているのです。この粉はブルームと呼ばれ、水分の蒸発を防いで果粒を保護する役割があります。袋がけは、ブルームが雨で流されてしまうのを防ぐ効果もあります。

⑤収穫

果粒が赤紫から紫黒色に色づいてきたら、いよいよ収穫です。北信では、だいたい9月上旬に収穫・出荷がはじまります。前年の冬から半年以上が経ち、ひと房ひと房手間暇かけることでようやく収穫できると思うと、有り難みが増しますね。

美味しいブドウの見分け方

最後に、美味しいブドウの見分け方をブドウ生産者の方に教えていただきました。鮮度を見るには、ブドウの軸をチェック。緑色で、弾力性と水気があるものが鮮度の良いブドウだといいます。軸が褐色になり、果粒がポロっとすぐ取れてしまうものは収穫から日数が経過し、鮮度が落ちてしまっていますよ。
果粒がずっしりと充実していて粒のもとまで黒色に色づいていれば、甘く味わい豊かに育っている証拠です。ぜひ選び方の参考にしてみてくださいね。

上品な旨味と爽やかな甘さが癖になるナガノパープル。誕生の地・長野県を越えて、全国でも栽培がはじまっています。手間暇掛けて我が子のように大切に育てられた果粒は、今年も最高の出来に間違いありません。購入できる期間が10月までと短く、とても貴重なブドウです。ぜひ皆さんもお店などで見かけた時には購入して、その味わいを確かめてみてはいかがでしょうか。

Minami Ota

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フリーライターの太田です。 私も大人になってから「農業の魅力」に気がついた一人です。 農がキーワードの身になる話題を随時お届けしていきます!

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