発表!2019年農業技術10大ニュース

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農林水産省は、この1年間に新聞記事となった民間企業、大学、公立試験研究機関及び国立研究開発法人の農林水産研究成果のうち、内容に優れ、社会的関心が高いと考えられる成果10課題を農業技術クラブ(農業関係専門紙・誌など29社加盟)の加盟会員による投票により選定した。

選定された「2019年農業技術10大ニュース」は、次のとおり。

1:[病害虫防除]薬剤と同等以上の効果のある種籾の温湯消毒を開発

 東京農工大学、富山県、株式会社サタケ、秋田県立大学、信州大学は、水稲の種籾を予め乾燥することで、高温耐性が強化されることを発見。通常より5℃高い条件で温湯消毒することで、発芽能力を維持したまま、ばか苗病、いもち病、苗立枯細菌病、もみ枯細菌病に対して化学合成農薬と同等の効果を発揮する種子消毒技術を開発した。
 薬剤が効かなくなった耐性菌にも効果を示し、使用する農薬を減らすことができ、環境にやさしい農業への貢献が期待できる。

2:[スマート農業]楽してお得!配水管理システム。ICTによる自動化で管理労力と費用を削減

 農研機構は、ICTを活用し、水路から水田に最適に農業用水を供給する配水管理システムを開発した。必要な水の量に応じてポンプの出力を最適化することにより、管理者の配水作業を省力化できるとともに、電気代などの管理費の削減や節水に貢献することが期待される。

3:[病害虫防除]コウモリの超音波でガの侵入を阻止。イチゴハウスでの産卵を9割以上も抑制

 農研機構、東北学院大学、JRCSは、コウモリが発する超音波を嫌うガの性質に着目し、これを模倣した人工の超音波でガを追い払う装置を開発した。この装置をイチゴハウスの側窓に向けて設置し、ガが活動する日没前から朝方まで超音波を発生させたところ、ハウス内へのガの侵入が大幅に減り、産卵数を9割以上抑制することに成功。農薬の使用量を抑えた害虫管理の実現に貢献するものと期待される。

4:[スマート農業]AIが3週間先までの果菜類の生産量を予測。栽培改善と安定取引の強化で所得アップを支援

 高知県、富士通、Nextremerは、出荷データなどをクラウドに収集し、果菜類の日々の出荷量や品質、部会内の成績に加えて、今後の出荷予測などがスマホ等で閲覧共有できる「高知県園芸品生産予測システム」を開発。営農指導の高度化、栽培改善、大口の予約販売の拡大による農家所得の向上が期待される。

5:[動物衛生]牛白血病の新たな制御方法、抗ウイルス効果の確認に成功。牛の難治性疾病に対する応用に期待

 北海道大学などの研究グループは、有効なワクチンや治療法がない牛白血病に対して、免疫細胞にブレーキをかける体内分泌物質とこれにより誘導されるタンパク質の働きを阻害するそれぞれの薬(プロスタグランジンE2産生阻害薬及び免疫チェックポイント阻害薬)を併用することにより、牛白血病ウイルス高度感染牛のウイルス量を減少させることに成功。牛白血病を含む牛難治性疾病に対する新規制御法への応用に期待できる。

6:[病害虫防除]ジャンボタニシを電気で捕獲、超音波で退治。水田の侵略的外来種、薬剤を使わず駆除

 国立佐世保工業高等専門学校は、水田の侵略的外来種であるジャンボタニシ(スクミリンゴガイ)が電気に対して反応する「走電性」を示すことを発見。この性質を利用して、水田に設置した電極の周辺にたくさんのジャンボタニシを誘き寄せ、捕獲できることを実証し、さらに、捕獲した個体は短時間の超音波照射で死滅させることができることも示した。薬剤を使わずにジャンボタニシを駆除する技術の開発につながるものと期待される。

7:[動物衛生]牛の乳房炎の早期診断で新たな手法を発見。小型NMRで黄色ブドウ球菌乳房炎をいち早く察知

 理化学研究所と農研機構は、乳汁を核磁気共鳴装置(NMR)で計測することにより、乳房炎を早期に診断できる手法を発見した。乳汁に含まれる微粒子の表面積(比表面積)に着目し、黄色ブドウ球菌に感染した乳房炎乳汁は、この比表面積の数値が減少することを発見。その値がリアルタイムに得られることから症状を示す前の乳房炎であっても早期発見が可能となり、被害抑制への貢献が期待される。

8:[スマート農業]小型で低価格、中規模農家向け豚舎洗浄ロボットが誕生。つらい洗浄作業を大幅に省力化

 農研機構、中嶋製作所、香川大学などの研究グループは、中規模養豚農家向けの、日本の狭い豚舎通路に対応可能なコンパクトかつ安価な豚舎洗浄用ロボットを開発した。過酷な環境下での手作業の豚舎洗浄は、長時間にわたる過酷な作業だが、開発したロボットがその大部分の作業を担い、人手による洗浄時間を3割以下に縮減することが可能となり、徹底した洗浄・消毒を行うことで疾病リスクの低減も期待される。

9:[新たな育種技術]病気に強く、花も大きくする遺伝子をイネから発見。イネ紋枯病の新たな防除法にも期待

 農研機構、理化学研究所、岡山県農林総合センター生物科学研究所は、イネの重要病害である紋枯病に強くなり、かつ花が大きくなる遺伝子BSR2(ビーエスアールツー)を、イネから発見した。今後は、BSR2遺伝子によって紋枯病に強くなる仕組みを調べ、イネ紋枯病の新たな防除方法の開発を目指す。また、この遺伝子の利用により、病害に強く大輪の花きの開発等が期待される。

10:[スマート農業]AIを活用した「無人茶摘み機」を開発。茶摘みは人からロボットへ

 鹿児島県、松元機工、日本計器鹿児島製作所は、茶摘み作業を自動化できる「無人茶摘み機」を開発し、受注販売を開始した。茶樹の位置をAIで認識して茶摘み作業を自動かつ高精度で行うだけでなく、隣の畝への移動も無人で行うことができる。茶摘み作業の大幅な省力化が可能になるとともに、降雨等の悪天候下での作業による稼働効率向上や、転倒事故のリスク軽減による農作業安全等の効果が期待される。

(2019年12月24日 農林水産省のプレスリリースより抜粋)

s.yamamoto

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ツチカウ編集部の山本です。マーケティングを生業としながら、米とカボチャを生産する両親を支えつつ、日本の農の未来に想いを寄せています。

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