畑からはじまるスキンケア!美と健康のための注目素材⑥オリーブ

食×農業

オリーブは旧約聖書やギリシャ神話にも登場するほど、古くから人間との関わりが深い植物です。オリーブには「平和」「安らぎ」「知恵」「勝利」など、信頼を感じさせる花言葉が並びます。「旧約聖書」には、大洪水の後にノアの箱舟から放たれた鳩が陸地のオリーブの枝をくわえて帰ってきたという話があり、オリーブの枝をくわえた鳩は平和のシンボルとされています。また、「富と豊穣」を象徴する木でもあり、縁起のよい植物として庭先に好んで植えられます。

そんなオリーブの実を搾るとオリーブ油がとれます。現在では日本でも食用油としてしっかりと定着して、日常の食事に重要な食品になりました。日本で販売されるオリーブ油の大半は、スペイン、イタリア、ギリシャなどから輸入されますが、日本でも四国、九州、広島などで栽培されています。とくに香川県の小豆島は日本でのオリーブ栽培の発祥の地として有名です。

オリーブは「生命の木」

オリーブ栽培の発祥は地中海沿岸で、紀元前3500年前のオリーブ油の貯蔵跡が出土しており、オリーブは人間の生活を支える重要な油の原料として長い歴史をもつことが証明されています。ナツメヤシやイチジクとともに「生命の木」として、オリーブは人間の命を支えてきた植物なのです。

オリーブ油には善玉コレステロールをキープしたまま、悪玉コレステロール値を下げるという働きが認められていて、動脈硬化、高血圧などの生活習慣病の予防や改善にもつながるといわれています。その健康効果とフルーティーな香りとおいしさで、地中海沿岸の国々では、人々の生活になくてはならない健康食品として愛されてきました。

オリーブ油の石鹸

マルセイユ石鹸

オリーブ油は食用のほかにも、石鹸原料、化粧品、薬品としての用途があります。とくにオリーブ油配合の石鹸は、古くから人気のスキンケア製品です。動物性の油脂でつくる石鹸は比較的さっぱりとした洗いあがりですが、オリーブ油からつくられた石鹸は、洗ったあとに肌がしっとりと感じられるのが特徴です。

オリーブ油の石鹸は、17世紀のフランス地中海沿岸のマルセイユ地方で盛んに製造されるようになり、「マルセイユ石鹸(サボン・ド・マルセイユ)」と呼ばれています。マルセイユのオリーブからつくられた「マルセイユ石鹸」は評判がよく、競うように製造されました。中にはオリーブ油以外の油脂を使って粗悪な品質の石鹸を製造するものも登場するほどでした。

競争が激しくなった結果、品質の悪い石鹸が出まわったことが問題となり、純粋なマルセイユ石鹸を守ろうと、1688年10月に太陽王ルイ14世が「マルセイユ石鹸」の製造に対して厳しい製造基準を設けました。その決まりとは次のようなものです。

  • 6~8月の暑い時期の石鹸製造は禁止
  • 5月以前に収穫したオリーブの実は若すぎるため、熟したオリーブの実を搾ったオイルを使うこと
  • 原料となる油脂は、オリーブ油のみを使用する。それ以外の油を使用した場合は没収

その後、歴史とともにその製造方法は変化し、現在のフランスでは伝統の製法を守る数社の石鹸製造会社がマルセイユ石鹸の製造を続けています。現在のマルセイユ石鹸の配合はオリーブ油72%、ココナッツオイル18%、パーム油10%。これは19世紀になって、オリーブ油が不足したとき、オリーブ油以外の油脂を使用したことがきっかけで作られたレシピだと言われています。

カスティール石鹸

オリーブ油100%で固形石鹸をつくると緑色になり、こちらは「カスティール(キャスティール)石鹸」と呼ばれます。洗いあがりはしっとりとしているのが特徴なのですが、泡立ちが少なく、溶けやすいというデメリットもあわせもちます。カスティールはスペインの古王国名で、カスティール石鹸の発祥国であるスペインでは、現在でもオリーブ栽培が盛んに行われています。

カスティール石鹸は固形だけでなく、液体の製品も多く市販されています。液体のカスティール石鹸は、オリーブ油以外の植物油を配合しているものも多いので、成分表を確認して購入することをおすすめします。ナチュラルな素材だけでつくられる液体石鹸は、自然派スキンケアの愛好家から長く支持される製品で、ボディウォッシュ、シャンプー、洗濯、食器洗い、掃除にも使えるオールマイティーな発泡洗浄剤です。

オリーブ油の美容効果

オリーブ油はスキンケアにも適した植物油で、昔から健康な肌を保つために重宝されています。オリーブ油の成分の約70%はオレイン酸です。実は、このオレイン酸は私たちの皮膚を覆う皮脂の成分でもあります。そのため、オリーブ油は皮膚になじみやすく、肌なじみのよい美容オイルとして愛用者の多いスキンケア製品です。

オリーブ油の高い保湿効果によって、肌を乾燥から守り、しっとりとしたうるおいを保つことが可能になります。洗顔後の肌になじませ、その後通常のスキンケアをおこなうと、いつも以上の保湿効果を感じられるかもしれません。また、ローションやクリームなどの保湿化粧品に数滴混ぜるとその効果がアップするともいわれます。

オリーブ油はマッサージにも優れ、人肌にあたためたオイルで顔や身体をゆっくりとやさしくマッサージすることで、肌にハリと潤いを与え、ツヤを保ちます。その際、お好みの香りをプラスすることもおすすめです。マッサージに向くアロマセラピストやショップに相談して、オリーブ油に適した精油を選んでみてください。

ただし、食用のオリーブ油をスキンケアに使用することはおすすめできません。化粧品として販売されているオリーブ油は皮膚に使用するために調整されていますので、スキンケアには化粧品として販売されているものを使いましょう。食用のオリーブ油では強い香りや重く油っぽい使用感が気になることがあるかもしれません。また、敏感肌の方は、必ずパッチテストを行ってから使用してください。

オリーブの葉も注目の美容素材

オリーブの葉は、オリーブの実と同様にスキンケア効果が注目されている素材です。オリーブ葉エキスとしてスキンケア製品に配合される目的は「ヒスタミン遊離抑制による抗アレルギー作用」で、皮膚炎、肌荒れなどで皮膚のバリア機能が低下している場合に有効といわれます。紫外線UVBによる皮膚の損傷を抑え、創傷治癒活動の促進効果も認められています。

オリーブの葉には実以上のポリフェノールが含まれ、食用としてはもちろん美肌づくりにも期待できます。オリーブの葉のお茶に含まれるオレウロペインというポリフェノールはコラーゲンの生成を助けて肌にハリを与え、シミの原因となるメラニンの生成を抑制する効果もあるといわれ、今後の研究結果が待ち望まれています。

オリーブの葉茶には優れた抗菌・抗酸化作用も認められ、風邪やインフルエンザの予防のほか、血圧、血糖値、コレステロール値の低下にも役立つといわれます。このオレウロペインはオリーブの葉には豊富ですが、緑茶の茶葉には含まれない成分です。オレウロペインをとりたいなら緑茶代わりにオリーブ葉茶を飲んで補給してみてください。さらに、オリーブ葉茶はノンカフェインなので、カフェインを避けたい場合にもおすすめです。

オリーブ油を安全に使うために

健康によいといわれるオリーブ油は、代表的な食べるスキンケア素材のひとつです。果実を絞っただけの天然の油ですが、メーカーによって風味が異なるので、お好みの味をみつけるのもオリーブ油の楽しみのひとつです。果実を絞った後にろ過処理しないもの、オリーブの実が熟す前の若い実を搾ったものなど希少なオリーブ油も出まわっていますので、試してみることをおすすめします。

オリーブ油はオレイン酸が豊富で比較的酸化しにくいのが特徴ですが、それでも長く安全に使用するためにはポイントがあります。光の当たらない涼しい場所で保管するのが基本で、茶色や緑色の容器に入っていれば、直射日光にさらされることなく酸化を防ぐことができます。食用にもスキンケアにも安全に使うことがもっとも大事なので、消費期限や保存方法には注意しましょう。

Atsuko.Y

グリーンスキンケアフォーミュレーター。食べること、ライフスタイルなど、農からはじまる美と健康の秘密を世界に発信しています。日本の植物を主原料とする化粧品材料...

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