こだわりいっぱいの油でみんなと繋がりたい〜たねのわ搾油所さんインタビュー part.2

Humans of 農業

ーー原材料のこだわりはありますか?
(陽馬さん:)
胡麻は海外産を使っていますが、菜種は拘っています。
日本で作られている菜種っていうのはものすごく少ないんですね。
日本で菜の花と桜といえば春の風物詩ですよね。
昔は菜種の自給率は100%だったんですよ。
でも1973年の輸入自由化によって海外の菜種がたくさん入ってきて、一気に減ってしまったんです。
自給率は、一番ひどい時で0.04%で、
今はちょっと上がって0.06%ぐらいになっているんです。
たねのわ搾油所では北海道の農協さんと契約して、契約栽培をしてもらっています。

日本の場合、菜種はほとんどがカナダから輸入されているんですが、
それらはほぼ遺伝子組み換えの菜種なんです。
その次に多いのがオーストラリアなんですけど、これもほぼ遺伝子組み換えです。
そんな中で日本の菜種っていうのは、遺伝子組み換えではない掛け合わせで作っている品種なので、
まずその辺りに魅力があるっていうのが一つと、
あと海外産に比べて日本産は圧倒的に美味しいです。味がいい。全然違いますね。

僕らは、委託っていう形で地元で作られた菜種を絞ったり大阪の人が作った菜種を絞ったりするんですけど、
やっぱり土地によってそれぞれ味が違うんですよ、でも大体、日本産っていうのは味がいいです。
コクがあって、香りが優しいです。
気候風土の問題もあると思いますし、あと大きくは品種だと思います。
在来品種の中から選抜して掛け合わせて、改良の菜種を生産しているので。
うちで取り扱っているのはキザキノナタネっていう品種なんですけど、こういった品種は味が抜群にいいです。

ーー油の製法について教えて欲しいです。
サラダ油などは日本の場合、ほとんど「圧抽法」という方法で絞られています。
これはどういう絞り方かというと、圧力をかけて絞るのと同時に、有機溶剤を添加して、原材料に含まれる油分を溶かしながら絞るという方法です。
この有機溶剤というのがヘキサンという石油化学系の溶剤なんですけど、
これは発がん性のある物質なので、危険視されています。
ただ一般的に出回っている油っていうのは、絞った後にヘキサンの部分だけを取り除きます。
取り除いた後流通していますので、一般的に売られている油が危険というわけではなくて、製法に使われているヘキサンというのが、あまりナチュラルではないのです。

作業をする陽馬さん

でも、うちのような小さな油屋さんがやっているのは「圧搾法」という、
物理的な圧力で絞り取る、という方法を取っています。
有機溶剤とかを使わなくていいメリットはあるんですが、その代わり、取れる油の量は少ない、そういったデメリットもあります。
ただ有機溶剤を使って搾り取った油よりも、はるかに雑味がない、ピュアな油が取れるんですね。
力強く絞っているわけでもありませんし。
サラダ油などは、抽出したあと薬剤などを加えながら精製していくんですが、うちは紙で濾すだけです。
例えるなら、うちの油は黒砂糖みたいなものですね。
サラダ油は、それを精製していった白砂糖のようなものです。
ではなぜ精製するのか。それは極度に強い香りだとか雑味などをとるために精製していくんですけど、
うちの油の場合はそもそもそんなに強く絞らないので、あまり雑味のない油が取れる。

あと、通常の油を製造する際、精製する過程で、良い物まで取り除いてしまっているケースも中にはあるんですね。
例えば、通常の油を製造する場合、色を取り除く「脱色」という工程があります。
スーパービタミンEと言われて抗酸化力があり、化粧品などに添加されているトコフェロールというものが油に入っているのですが、精製する脱色工程で取り除いてしまっている場合があります。
その点、うちのはそういうことはせず、全部絞っただけの油ですよ、というのが一つの売りなんです。
なので、うちの油はものすごく黄色いんですよ。よくオリーブオイルと間違われるんですけど。
この黄色っていうのがビタミンEなんですね。ビタミン系の色素なんです。
オリーブオイルでいうところのバージンオイルという位置付けなのかなと思います。
そのまま生でサラダにかけていただいたり、和風パスタなんかすごく美味しいですし、オリーブオイルと同じような使い方ができますね。

たねのわさんの油

ーー原料である菜種や胡麻を焙煎する薪釜は手作りということですが、なぜ手作りにこだわったのでしょうか?
まず、油屋さんが少なくなってしまったので、搾油用の機械ってほとんどないか、あってもものすごく高額なんですよ。
なので手作りしたのはそのイニシャルコストを減らすためですね。笑
油屋さんになる前に油屋を巡る旅をした時に、いろんな油屋をみてきていたので、
大体どんな物や機械を使っているかは全部教えてもらって、それをもとに、地元の鉄工所に作ってもらいました。
油を絞る搾油機だけは、ここから車で1時間くらいのところに佐賀県唐津市というところがあるんですけど、
そこで長年眠っていた機械、もう今から70年以上前のものになるんですけど、
そこで見つけて譲ってもらうことができたんですよ。
それ以外は全部、みてきた油屋さんで教えてもらったものを鉄工所で作ってもらいました。

手作りの薪釜
搾油機

ーーたねのわさんの油に対してのお客様の反応はいかがですか?
味に関してはみなさん美味しいって言ってくださいますね。
でも難しいなって思うのが、油ってスーパーの特売対象になりやすい商品なんですよね。
98円とかいうとみんな買いに行く、というような物なので、安いものだというイメージがついているんです。
今まで個人でしている小さな油屋さんというのは、価格競争が厳しくて廃業されるところが多かったんですね。
けど、日本にも伝統的なそういうバージンオイルと言えるものがあるんだねって、だんだんと認知してもらえてきてはいるので、上質なものはそれなりに値が張る、という認識を持っていただけるようになってきています。
胡麻油にしても菜種油にしても、味に関しては「美味しい」とびっくりされます
なので、高価格であることに関しては、私たちが説明して理解していただいて、買っていただくのが理想ですし、今直面している課題でもあります。笑

Yui Takato

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ツチカウ編集部のYuiです。よろしくお願いします!

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