稲刈りの季節本番!はぜ掛け?はざ掛け?稲木掛け?

地方×農業

9月も半ばを過ぎ、黄金色に実った稲穂が首を垂れる季節になりました。
田園地域では、そろそろ稲刈りの光景があちらこちらで見られる季節。家族総出で稲刈りをする季節がやってきましたね。

ツチカウ編集部のある長野県地域では、山間部ということもあり、大きな田んぼではコンバインの動く姿も見られますが、小さめの田んぼではバインダーと呼ばれる稲刈り機でじっくりと稲を刈って、結束された稲の束を運ぶ子供たちの姿も見られるようになります。コンバインを入れるほどでもない面積の田んぼでは、バインダー(稲刈り機)とハーベスター(脱穀機)が活躍するケースも多いです。

そんな稲刈り後の田園風景、刈り取った稲の束を天日干しする「あの」棒に掛けることを、皆さんの地域では何と呼びますか?

はぜ掛け

長野県で生まれ育った筆者の地域では「はぜ掛け」が一般的な呼び名です。はぜというのは、木の棒を2~3本組み合わせて支柱を作り、そこに長い竹竿のような丈夫な棒を縛り付けて、稲の束を架けていく「はぜ掛け」作業が至る所でお目見えします。

はぜ掛けをして湿度の低い秋の日差しの下で天日干し。 お米を干すことでアミノ酸と糖の含有量が高くなり、また、稲を逆さまに吊るすことで、わらの油分や栄養分、甘みが最下部の米粒へおりて、栄養とうま味が増すと言われています。

長野県では「はぜ掛け」が一般的な呼称のようです。

はざ掛け

ところが、長野県でも一部の地域や、別の県に行くと、はぜ掛けのことを「はざ掛け」と呼ぶところもあるようです。「はぜ」が一般的だと思っていた筆者にとっては「はざ」という呼び方はなんだか斬新。

いずれも漢字だと「稲架」と書くようですが、濁らずに「はさ」「はせ」と呼ぶ地域もあるらしく、他にも「はで」と呼ぶ場所もあるらしい。語源まではよく分かっていないのですが、地域によって微妙に呼び名が変わるのはちょっと面白いですね。

稲掛け、稲木掛け

標準語のようでもあり、その様子が最も分かりやすく伝わる表記としては「稲掛け」という呼び方も。これは確かに分かりやすい。天日干しをするという昔ながらの生活の知恵も、様々な呼び方によって表現されているわけです。

いわゆる「はぜ」つまり稲の束を架けるための支柱と横木の組み合わせそのものを「稲木(いなぎ)」と呼ぶようです。稲木に掛けるから「稲木掛け」と呼ぶ地域も存在します。いや、むしろこちらが一般的なのかな…。皆さんの地域ではどんな呼び方がされているのでしょうね。地域別の呼び方で日本地図を色分けしてみたら、なんだか面白そう。でも情報がなかなか見つからないので、これはいつかの調査テーマとして取り上げてみたい。

米どころの「はざ掛け」がスゴイ

僕らが目にする「はぜ掛け」「稲木掛け」は、稲の穂が地面に着かない程度の高さに横木を渡すのが一般的なのですが、ネットで調べてみると、日本の米どころと呼ばれる新潟のある地域では驚きの「はざ掛け」が行われているようです。

その光景がこちら。

なんとはぜ(はざ)の支柱が完全に「樹木」なんです。そこに壁のように掛けられた稲の束。いったい何重に掛けられているのでしょう…。

筆者が子供のころから見てきた「はぜ掛け」はせいぜい2重に掛けるものが多かったわけですが、さすがと言いますか、広大な圃場を持つ米どころでは「はざ掛け」も実にダイナミック。梯子か何かで掛けていくのでしょうか。こんな光景が広がっている地域。一度は訪れてみたい気がします。

まとめ

そんな「はぜ掛け」「はざ掛け」「稲木掛け」ですが、近年は農作業効率化、機械化の影響もあり、刈ったそばから脱穀と強制乾燥までしてしまうコンバインにその役割を取って代わられているケースも多く、こういった光景を目にする機会もだいぶ減ってきたようです。

先人の知恵である天日干し、それを実現する「はぜ掛け」という技法。効率は確かに劣るかもしれませんが、のどかな田園風景を彩るこれらの伝統的な風景も、自然と共生する農業の豊かな営みを象徴する縮図のような気がしてしまいます。

コンバインが普及して、小型のものも多くなってきた昨今ですが、伝統的な「はぜ掛け」の光景も、いつまでも残っていてほしい…そんなことを思ってしまう今日この頃なのでありました。

s.yamamoto

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ツチカウ編集部の山本です。マーケティングを生業としながら、米とカボチャを生産する両親を支えつつ、日本の農の未来に想いを寄せています。

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