化粧品が自然を破壊する⁉グリーンスキンケアが注目される理由

ライターズコラム

なぜグリーンスキンケアが注目されているの?

SDGs(持続可能な開発目標)が掲げられてから、グリーンスキンケアを掲げるブランドが注目を集めています。グリーンスキンケアブランドは、自然環境保護に積極的で、製品づくりに環境を守るための考え方をとりいれます。容器包装、製品の製造方法において、自然や環境に負荷をかけない方法が採用されるのが特徴です。

自然を破壊していることを知らないまま、私たちは日々数多くの製品を使い続けています。化粧品も環境に影響をあたえる製品のひとつです。ここでは、化粧品と自然環境の知られざる関係を解説します。
グリーンスキンケアについてはこちらで詳しく解説しています。

化粧品が海の環境に影響する⁉

海に捨てられるプラスチックが深刻な環境問題なのは広く知られている点です。プラスチックごみ削減のため、「プラスチック製のストローの替わりに紙や木から作る」「プラスチック製のレジ袋が有料になる」など、世界中でプラスチックごみの削減のための取り組みが進められています。

そんな状況のなか、化粧品の容器はほとんどがプラスチック製で、グリーンスキンケアブランドの中にはプラスチックの化粧品容器を問題視して、ガラス容器を使い続けているところもあります。リサイクルできるというのが、ガラス容器が環境にやさしいと考えられるポイントです。

しかし、ガラスには、「破損しやすい」「重量が重くなり輸送費用の負担が大きくなる」「製造時に使用するエネルギー量が多く、二酸化炭素排出量が増える」などのデメリットもあり、環境を重視するスキンケアブランドの間でも、ガラスとプラスチックではどちらが環境にやさしい容器なのかという議論が続いてきました。

現在では、より環境に負担をかけないエコを意識した容器の開発が進んでいます。紙や木、竹などのほか、包装資材を使わないという考え方も登場しています。今後はより環境にやさしいプラスチックに替わる容器の開発が望まれています。

マイクロビーズ

容器のほかにも、化粧品にプラスチックが含まれる場合があります。フェイス洗顔料、ボディスクラブ、歯磨き剤などに含まれるマイクロ(プラスチック)ビーズは、0.001mm~0.1mmほどの大きさで目にはみえず、小さすぎるため、排水処理施設でも完全に除去できずに海に流れ出てしまいます。

マイクロビーズは化学汚染物質を吸着する性質をもち、それを魚などが食べ、さらに人間の口に入ると懸念されています。アメリカ、カリフォルニア州では2015年にマイクロビーズを含むパーソナルケア製品の製造を禁止する法律ができました。
出典:https://core.ac.uk/download/pdf/199463708.pdf

日本では大手メーカーは自主規制によってマイクロビーズの使用を排除しています。ほぼ全面的に使用していないと報告されていますが、禁止ではないので、あくまで企業が自主的にマイクロビーズを使わないと打ち出しているに留ります。

日焼け止め成分

サンゴへの影響

2021年1月1日よりハワイでは日焼け止め禁止法案が実施されました。日焼け止め化粧品に含まれる成分がサンゴの白化現象や絶滅の原因に関係するのではないか、と考えられているためです。ダイバーが増えた地域で海洋生物の死亡率が増えたことから、日焼け止め成分とサンゴの白化との研究が行われています。

禁止された日焼け止め成分

ハワイで使用禁止となった日焼け止め成分は「オキシベンゾン」、「オクチノキサート」の2種類です。どちらも有害な紫外線を吸収して肌に侵入させない働きをもつ「紫外線吸収剤」です。EUではどちらの成分も環境ホルモン作用が問題視されています。

アメリカではこの2種類の成分は多くの日焼け止め製品に使用されている紫外線吸収剤です。この2種類を含む製品は医師によって必要性が認められない限り、販売できなくなりました。そのため、多くのメーカーが配合成分の変更やリニューアルを求められています。

この2種類の紫外線吸収剤は、日本の厚生労働省で使用が認められている32種類の中に含まれます。日本製のファンデーション、化粧下地、日焼け止め効果のあるリップクリームなどに配合されています。

化粧品が森林を破壊する⁉

環境破壊が進むのは海の中だけではありません。地上では化粧品の原料のために多くの森林が伐採され、動物の住処が奪われるほか、さまざまな問題が起こっています。なかでもパーム油は環境だけでなく、社会面でも大きな問題となっています。

パーム油がひきおこす環境問題

パーム油とは

パーム油はアブラヤシの実から搾りとる植物油です。ココヤシの実からとるココナッツ油は「ヤシ油」とも呼ばれるため、誤解されやすいのですが、パーム油とヤシ油は別のものです。アブラヤシは熱帯の国々でのみ栽培され、アブラヤシの房の実からはパーム油、種からはパーム核油が採油できます。

パーム油の用途と別名

パーム油はスーパーで買える製品の約半数に使われているといわれるほど、私たちの暮らしに欠かせない油です。揚げ油などの食用のほか、洗剤、シャンプー、せっけんなどにも使われます。化粧品にも多く含まれています。ラベルの成分表示をチェックして「パーム油」と書かれていなくても、植物油、ショートニング、グリセリン、界面活性剤などはパーム油を原料としてつくられることが大半です。

アブラヤシの栽培による森林破壊

年々需要が高まるパーム油のため、熱帯の森が次々とアブラヤシ農園に変えられてきました。アブラヤシの栽培には数千~数万ヘクタールほどの広大な土地が必要です。パーム油の約85%を生産するインドネシアとマレーシアでは、1990~2010年の間に九州の面積と同じくらいの広さの熱帯雨林が破壊されたと報告されています。
出典:https://news.mongabay.com/2013/11/3-5-million-ha-of-indonesian-and-malaysian-forest-converted-for-palm-oil-in-20-years/

動物の住処を奪う森林伐採

このように大規模な熱帯雨林を破壊することで、そこに住んでいた動物たちが生活する場を奪われます。熱帯のジャングルに住むオランウータンやゾウ、トラなどの動物がその数を減らしており、保護活動も行われていますが、功を奏していないのが現状です。農園に入りこんで荒らしてしまい獣害として殺されることもあり、動物たちはますます数を減らしています。

パーム油を使わない化粧品

環境問題に目を向けるグリーンスキンケアブランドでは、パーム油を使用しない製品づくりをしていることもあります。しかし、すべての製品をパーム油フリーでつくることは簡単ではなく、グリーンスキンケアブランドの頭を悩ませる問題です。

化粧品の原料となる植物の絶滅危機

化粧品のもととなる植物が乱獲によって絶滅の危機にあるというのも、自然派スキンケア業界が抱える問題のひとつです。自然派がメジャーになるほど、効果が認められる有用植物のニーズが高まり、見境なく採取することによって絶滅の危機にさらされる植物は数多くあります。

ローズウッド

インドやアマゾン川を流域とするローズウッドは、国際的な自然保護団体、国際自然保護連合(IUCN)が認める絶滅危惧植物です。化粧品の材料やアロマテラピーなどに使うほか、高級な家具や楽器にも木部が使用されるために乱獲伐採されてきました。

ローズウッドと同じくサンダルウッド(白檀/びゃくだん)もその数を減らしています。ローズウッドもサンダルウッドも木部を使用します。どちらも成長するまでに数年を要し、計画的な使用が求められますが、高値で売れるため盗伐なども後を絶たないのが現状です。

紫草(むらさき)

漢方の生薬、化粧品の材料として使用される紫草(むらさき)の根は紫根(しこん)と呼ばれる生薬です。紫根には傷の治りを促進する作用や抗菌作用が認められ、化粧品の材料とするほか、外用の漢方薬「紫雲膏(しうんこう)」や痔疾の治療薬にも使われてきましたが、現在では絶滅の危機にあります。

グリーンスキンケアで自然を守ろう

スキンケアの視点だけでも、いまや地球規模の自然破壊を無視することはできない状況です。便利さ、快適さを求め過ぎてきたことを謙虚になって振り返り、今後は植物や動物と共に暮らしていける地球に変えていければいいですね。小さなことですが、日々の個人レベルのスキンケアからそんな世界をつくることを想像し、実行していくことが重要なのではないでしょうか。

Atsuko.Y

グリーンスキンケアフォーミュレーター。食べること、ライフスタイルなど、農からはじまる美と健康の秘密を世界に発信しています。日本の植物を主原料とする化粧品材料...

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