生き物なのに農薬!?天敵農薬のメリット・デメリットとは

社会×環境×農業

みなさん、こんにちは。ツチカウ編集部の谷口です。みなさんは、「天敵農薬」についてご存じでしょうか。

「天敵農薬」とは、自然界における天敵関係を利用した農薬のことです。

今回、ツチカウ編集部は「天敵農薬」について調査しました。

農薬とは

農薬散布

「天敵農薬」について考える前に、「農薬」について考えてみましょう。

そもそも「農薬」とはなんなのか、みなさん答えられるでしょうか。実は、農薬にもしっかりとした定義があります。

農薬とは、農作物や観賞用植物など人が育てている植物に発生する害虫や病気を退治したり、雑草を除いたりするために使われる薬剤などのことです。

農林水産省 農薬ってなに? | https://www.maff.go.jp/j/fs/f_nouyaku/001.html

農薬の定義は、「人が育てている植物に発生する害虫や病気を退治したり、雑草を除いたりするため」というところがポイントですね。

衛生環境を守るためにゴキブリやハエを退治する薬剤は上記の条件に当てはまらないため、「家庭用殺虫剤」と呼ばれるそうです。

さらに厳密に「農薬」について考えるために、農薬取締法を確認してみましょう。

農薬取締法では、「農薬」とは、「農作物(樹木及び農林産物を含む。以下「農作物等」という。)を害する菌、線虫、だに、昆虫、ねずみその他の動植物又はウイルス(以下「病害虫」と総称する。)の防除に用いられる殺菌剤、殺虫剤その他の薬剤(その薬剤を原料又は材料として使用した資材で当該防除に用いられるもののうち政令で定めるものを含む。)及び農作物等の生理機能の増進又は抑制に用いられる植物成長調整剤、発芽抑制剤その他の薬剤をいう。」とされ、また農作物等の病害虫を防除するための「天敵」も農薬とみなす、とされています。

農林水産省 農薬の基礎知識  詳細 | https://www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_tisiki/tisiki.html#kiso1_1

ついに出てきました、今回のテーマである「天敵」という言葉。農薬取締法において、「天敵」は農薬とみなされているのですね。

天敵農薬とは

「天敵農薬」とはその名の通り、害虫の天敵を利用した農薬のことです。

天敵というと、たとえば、

テントウムシアブラムシを食べる!

カマキリイナゴを食べる!

スズメバチアオムシを食べる!

と言った関係が思いつきますね。しかし、テントウムシやカマキリ、スズメバチのことを「天敵農薬」と言っても良いのでしょうか。

天敵というのは、一般(いっぱん)に、自然界(しぜんかい)で2種類(しゅるい)の動物のあいだで、片方がもう片方を一方的(いっぽうてき)に食べるという関係(かんけい)がある場合(ばあい)に、食べられる側(がわ)からみて食べる側の動物をさすことばです。アブラムシを食べるナナホシテントウムシが有名(ゆうめい)ですが、クモやトンボ、ハチの仲間(なかま)もたくさんの害虫(がいちゅう)を食べます。したがって、これらも広い意味(いみ)では天敵農薬といえますが、農林水産省に農薬登録(のうやくとうろく)されている天敵は、2015(平成27)年3月31日現在(げんざい)、20種類(しゅるい)となっています。

出展:農林水産省 こどもそうだん 天敵(てんてき)農薬(のうやく)についておしえてください。 | https://www.maff.go.jp/j/heya/kodomo_sodan/0006/25.html

なるほど。テントウムシやカマキリ、スズメバチも広い意味では天敵農薬ですが、農薬として登録されているわけでは無いのですね。

農薬登録されている天敵はこちらから確認できます。

天敵の農薬取締法上の扱い – 環境省

天敵農薬のメリット・デメリット

アブラムシを捕食するテントウムシ

天敵農薬のメリット・デメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。

天敵農薬のメリット

天敵農薬のメリットには、下記のようなものがあります

化学農薬を使用せずに害虫駆除が可能

天敵農薬を使用することで、化学農薬を使用せずに害虫駆除が可能です。化学農薬を使用しない事にこだわりのある方には、天敵農薬はオススメの農薬といえるでしょう。

農薬としての効果が長い

天敵農薬は、その天敵が生きている限り害虫を駆除しつづけてくれます。また、化学農薬に比して、散布量・散布回数に制限のない種類が多いのも特徴です。

対象害虫以外の生物に優しい

化学農薬では、散布した範囲の生物に少なからず影響を与えてしまいますが、天敵農薬は対象害虫以外の生物に影響が軽微であることもメリットと言えます。

化学農薬に抵抗を持った害虫が発生しない

化学農薬を使用し続けると、その化学農薬に抵抗性を持った害虫が発生する可能性があります。(害虫も死にたくはないですからね)天敵農薬は自然の捕食関係を利用するため、抵抗性を持った害虫が発生しないというメリットもあります。

天敵農薬のデメリット

天敵農薬のデメリットには下記のようなものがあります。

複数の害虫に同時に対処できない

天敵農薬だけでは、複数の病害虫に同時に対処することが難しいです。複数の害虫が同時に発生する環境下において、天敵農薬は有効な手段とは言えません。

効果のある範囲が狭い

天敵農薬は、害虫の天敵が行動できる範囲に効果が限られます。そのため、広範囲の害虫に対処しなければならない時には有効ではありません。

生産・輸送が難しい

天敵農薬は「生物」という特性上、化学農薬に比して生産・輸送が難しいというデメリットもあります。

外来生物の場合、在来生物に悪影響を与える可能性がある

天敵農薬に使用する生物が外来生物の場合、在来生物に影響を与える可能性があります。

天敵農薬まとめ

天敵農薬には、様々な意味が込められていることが分かりましたね。普段、私たちが目にしている多くの生物が広い意味では「天敵農薬」と言えるようです。

また、「農薬取締法」において登録され、厳格に使用しなければならない「天敵農薬」があることも分かりました。

畑や田んぼも、自然の一部を自然から借りて使用しています。天敵農薬のメリット・デメリットを理解したうえで、自然に配慮したサステナブルな農業ができると良いですね!

t.taniguchi

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ツチカウ編集部の谷口です。農家の孫かつ家畜獣医の息子です。農家の皆さんのおかげでここまで大きくなりました。

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