梨農家のピンチヒッター!~SSでの消毒作業を代行しました。

Humans of 農業

農機具販売店に勤務する記者は、梨農家のお客様からこんな相談を受けました。
「こんど目の手術をするんだけど、1か月くらい外仕事ができなくなってしまう。その間に梨の消毒を代わりにやってくれないか?」

このご依頼を受けるべきか、否か?

会社に戻って先輩たちに聞いてみると、だれも「ぜひ引き受けるべきだ」とは言わない。引き受けて万が一に梨園に病気が発生してしまって、梨がだめになってしまったら、取り返しのつかないことになってしまう。
梨の消毒作業はそれだけ責任の重い仕事なのだ、断ったほうが良い、と言います。

そこでお客様にお断りをすると、「近所にも相談したけれど引き受けている人がいないから、何とかやってくれないか?」とのこと。
梨園の消毒は、SS(ステレオスプレーヤ/果樹園に農薬を散布し、消毒する機械)に乗って行います。記者もSSの修理や試運転はやったことがあるけれど、本格的な梨の消毒を行うのは初めての体験。しかしそこまで頼まれては仕方ありません。お引き受けすることにしました。

季節は5月初旬。朝の7時くらいから準備します。
農家さんによっては、まだうす暗い朝5時から始める人もいます。
というのも農薬から体を守るために、作業中はマスク装着のうえ雨カッパを着てのフル装備の姿になる。おかげでお昼くらいにはものすごく暑くなってしまいます。
そこで朝早く作業を始めて、午前11時くらいには消毒が終わるようにしているわけです。
また、「朝なぎ」といって、早朝は風が少ないというメリットもある。風が強いと農薬が均一に散布できなくなってしまいます。したがって、風の少ない早朝が理想的なのです。

農薬を3種類くらい混ぜて、薬液を作ります。農薬は粉状のタイプや液状のタイプがあって、何種類も混ぜるのはいろんな種類の害虫や細菌を退治するためです。1反歩の梨畑に約300Lくらいの農薬を撒きます。

5月の梨の実は、まだこんな感じ。とってもかわいい雰囲気です。8月上旬から収穫が始まります。

ゴアテックスの雨カッパに防除ヘルメットをかぶって完全武装。
農薬は皮膚からも吸収してしまうので、十分に対策しました。
特にこの丸山の防除ヘルメットは、充電式のファンで風を頭部に送ってくれるので、見た目よりもだいぶ涼しいです。
エアフィルターも何重にもなっていて、安心できます。そのぶん高価ですが…。といってもベテランの梨農家の方には、手ぬぐい一つにTシャツ姿で消毒作業をしている方も。もちろん暑さ対策なのでしょうが、少しお体への影響が心配になってしまいます。

さっそく消毒作業を始めているところです。消毒作業は、記者ともう一人のスタッフが交代で行うことにしました。
一人が運転している間に、もう一人は補給する農薬の準備などを行います。
撮影も兼ねているため、記者が運転している写真を撮れなかった点が残念です。

基本的に木の左側を回って、散布します。
梨の木の棚は低く、頭を下げて枝をかわしながらの作業です。また、木と木の間が狭い所もあり、ぶつけないように額に汗をかきながら運転しました。
ベテラン梨農家の方の運転は見ていて無駄がなく、ほれぼれするような熟練したドライビングテクニックを見ることもできます。

消毒は週に1回ほどのペース。雨の日や、強風の日はできないので、散布する日はかなり限られます。結果的に土日に散布することが多かったです。
5月とはいえ、10時を過ぎると汗だくになるほど暑さを感じます。作業終了後にはすぐにカッパを脱いで汗をぬぐって着替えていました。改めて、消毒作業の大変さを知りました。

無事に5月下旬~6月いっぱいの梨園の消毒作業を代行し、お客様に引き継ぐことが出来ました。大変な作業でしたが、お客様にとても喜んでもらえて疲れも吹き飛びました。
すこしは会社のモットー「元気農業のサポーター」の役割も果たせたかなと思います。

8月中旬には私が消毒した梨をいただきましたが、今まで食べたどの梨よりもおいしく感じられました。これが農業の醍醐味なのだと、実感!大変な作業でしたが、貴重な体験を積むことが出来て、お引き受けして本当に良かったと思います。

伊藤 慎一郎

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フリーライター兼、伊藤産業機械(株)専務の伊藤です。 農機具販売店に勤務のかたわら、記事を書かせていただくことになりました。

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