【パン用 国産小麦の特徴】産地や品種の違いを解説!

食×農業

小麦は、パンやうどん、麺類など、日々の食卓には欠かせない食材です。今では、家庭におけるパンの年間購入費は米の金額を上回るほどになりました。(出所:総務省「家計調査」二人以上の世帯)
そんな私たちの食卓を支える「小麦」ですが、現在外国産のものも多く出回っています。今回は国産小麦(内麦)の特徴や産地、品種の違いなどを解説していきます!

小麦や小麦粉の種類とは

まずはじめに、小麦の種類についてご紹介します。タンパク質の多い順に、硬質小麦、中間質小麦、軟質小麦の3つに分けられ、それぞれ順に「強力粉」「中力粉」「薄力粉」に加工されるのが一般的です。上述の通り強力粉はタンパク質が多いため、パンや餃子の皮に、中力粉はうどんに、薄力粉はお菓子や料理によく使われています。日本では、うどんに多用される中間質小麦(日本麺用 小麦)を広く栽培してきましたが、近年では需要に合わせ、硬質小麦(パン用小麦)の栽培も増えてきました。

その背景には、長く続く日本のパンブームも関係しているようです。自家製粉の小麦粉を使ったパン屋や、国産小麦を使った高級食パン店が次々とオープンし、中には平日でも長蛇の列ができるお店もあるほど。SNSの情報拡散力もパンブームにかなり影響を及ぼしているように思われます。

それでは次に「パン」の原材料となる、パン用 小麦の特徴や産地、品種の違いに注目していきましょう。

パン用 国産小麦の特徴

 国産小麦の特徴で、特に覚えておきたいポイントは2つです。

①安心・安全である
②単一品種の小麦粉と2品種以上のブレンド小麦粉がある

①安心・安全であるとは、具体的には「ポストハーベスト農薬」の危険がないということです。「ポストハーベスト農薬」とは、収穫後に使用される農薬をいい、日本では法律で使用が禁止されている(または添加物として表記する)のですが、輸入品にはそのような制限がありません。

次に、②単一品種の小麦粉と2品種以上のブレンド小麦粉がある、とは言葉通りの意味で、実際には後者のブレンド小麦粉の方が多く流通しています。単一品種の小麦粉を作るとなると、集荷も大変ですし、ある程度のロット数も必要になります。小麦の種類である「硬質小麦、中間質小麦、軟質小麦」という点だけ統一して、2品種以上をブレンドして製粉するのです。

パン用 国産小麦の産地

国産小麦の一大産地は、ご存知の方も多いと思いますが「北海道」です。次いで、福岡県、佐賀県となります。作付面積を都道府県別にみると、上位3エリアは、北海道で12万2,200ha、福岡県で1万4,700ha、佐賀県で1万600ha(令和2年)の規模となっています。福岡県は日本麺用小麦(品種:チクゴイズミ)の栽培も盛んなため、パン用だけみると、ほとんどが北海道産です。国産小麦の市場概要について、もっと詳しく知りたい方は《こちら》

北海道から九州まで、国産小麦は広く栽培されていますが、気候が違うため、同じパン用小麦でも品種は異なってきます。

パン用 国産小麦の品種の違い

 最後にご紹介するのは、パン用の国産小麦の品種とその違いについてです。現在、日本で栽培されている小麦を5品種ピックアップしました!一般的に言われる「製パン性」についても触れているのでチェックしてみてください。

品種名 主な産地 特徴および製パン性
春よ恋 北海道 春播小麦。グルテンが強くしなやかで、ふんわりモチモチした日本人好みのパンが焼けます。
ハルユタカ 北海道 春播小麦。弾力のある食感で、独特の甘味やモチモチ感があるパンが焼けます。
ゆきちから 岩手 秋播小麦。寒さに強い品種で、ふんわりしっとりとした食感のパンが焼けます。
ミナミノカオリ 熊本 秋播小麦。外国産小麦と同等の製パン性があり、柔らかくボリューミーなパンが焼けます。
せときらら 山口県 秋播小麦。山口県の奨励品種*。グルテンが強く、モチモチ・しっとりとした食感のパンが焼けます。

*奨励品種:各都道府県が普及すべき優良な品種として定めた品種。奨励品種に選定される農作物は、主要農作物である必要があり、米・麦類・大豆が一般的です。都道府県によっては、豆類やいも類、果樹等の作物を定めていることもあります。

最後に簡単ですが「製パン性」についてご紹介しておきます。

「製パン性」とは、パンへの加工のしやすさのこと。パンは小麦のタンパク質(グルテン)の量が重要で、均一であることが理想と言われています。

先ほどご紹介した「ブレンド小麦粉」は「単一品種の小麦粉」に比べて、ブレンドするときにタンパク質量を調整できるため、ばらつきを少なくすることができます。一方で、「単一品種の小麦粉」は、ブレンド小麦粉のように人工的に味を整えられていないので、品種独特の深みのある味わいが特徴です。

小麦粉と一口に言ってもそれぞれに利点があって、奥深さを感じます。どんなパンを作りたいかを考えて、小麦粉を選んでみるといいかもしれませんね!

池田夏子

学生時代にミャンマーの農村部で農業技術支援を経験しました。 農学部卒業後、FOODBOX株式会社に入社。 全国の農家さん向けに経営や販路開拓などをサポート、...

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